Nice Music! That hits the spot!

良い音楽との良い出会い。それは生涯追求し続けたいテーマ。

Maria Muldaur / Don’t you feel my leg

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僕がこのマリア・マルダーを知ったのは1975年、高校2年の時。当時愛読していた「ニュー・ミュージック・マガジン」にあった、小倉エージ氏の「ウエスト・コースト・ロックをみる」という、西海岸音楽旅行レポートみたいな特集でだ。「何とも表現しがたく失神寸前になったのがマリア・マルダーのコンサート」と興奮一杯に、4枚のステージ写真とともに記されていたのを見てなんか身体がうずうずしてきたのを思い出す。

それからすぐにファーストアルバム「オールド・タイム・レイディ」を入手し、あの声に高校生ながら悩殺されてしまって以来の大ファン。もちろん日本公演も行った。

ちなみに、この「オールド・タイム・レイディ」というアルバムタイトルは日本でつけられたもので、アメリカ版は単に「Maria Muldaur」というタイトル。当時、いろんな曲やアルバムに日本語題が付けられ、しばしば妙にロマンチックなちょっと気持ち悪いのも少なくなかったのだけど、この「オールド・タイム・レイディ」というのはマリア・マルダーファンとしてちょっとうれしくなる良いタイトルだと思っている。

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ファースト・アルバム「オールド・タイム・レイディ」

しかし、そんな大ファンと言いつつも、実はここ20年くらいはたまに古いアルバムを聴くくらいで動向チェックをしていなかったのだけど、そんなある日Apple Musicのプレイリストに久々現れたのがこのアルバム(実際にはこの中の1曲だったのだけど、どれだか忘れた)。

かつては若かった彼女も今や76歳。声が少ししゃがれたばあさん声になってきた。でも、同窓会で数十年ぶりに再会してこのじいさん誰だ?と思っても、少し話していると昔の記憶がぐわっと蘇ってくるように、久々のしゃがれ声のマリアもしばらく聴いていると、その声の中にあの僕を悩殺したマリアが蘇ってくるのだから不思議だ。

このアルバムは、ブルー・ル・パーカーというブルースシンガーへのトリビュートなのだそう。アルバムタイトルになっている「Don‘t you feel my leg」は、上述の「オールド・タイム・レイディ」に入っていた曲のセルフ・カバー。前のバージョンの最後には「ウッウン」という意味深なうめきっぽい声が入っているのだけど、今度のカバーでは「アゥ、アゥ、アゥ」っていう終わり方。これがなんとも艶っぽくて良いのだ。文字で書くとバカみたいなので、是非聴いてみてほしいです。