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Mandoo / Sweet Bitter Love

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このMandooというのはフランスのユニット。シンガーソングライターでベーシストの男性(ピエール・ヴァニエ)とキーボードの女性(エスター・ベン・ダウト)による男女2ピース・ユニット。

かつてフランス人は自国文化へのプライドが高く、たとえ英語がわかってても英語で話かけてきた外国人にフランス語でしか答えないなんて話もあった。そんな国のこととは思えない。このユニットは丸々アメリカな感じ。まさにアメリカ西海岸系AORの雰囲気をそっくり受け継いでいるバンドだ。

調べてみると、実はフランスはかなりAOR的音楽の人気が高い国らしい。上述のフランス人エピソードは今や昔の話(昔ですら本当にそうだったのかどうかはあやしい)で、やっぱりグローバル化の時代、音楽は軽々国境を越え、そんな中でもアメリカン・ロックの伝搬力は強いのだ。

「大きな影響を受けたアーティストは、アル・ジャロウスティーリー・ダンマイケル・マクドナルドマイケル・フランクスボビー・コールドウェル」なのだそう。「もともと2人ともジャズが好きで、ジャズ系のスタジオ・ミュージシャン、スティーブ・ガッドラリー・カールトンジョー・サンプルマイケル・ブレッカーなどを通じて70~80年代のウエスト・コーストの音楽に出会い、それらがその後の彼らの音楽のベースになっている」のだという。

2人は音楽学校で出会った。その頃既に2人ともジャズ・ポップス・ロック・ワールドミュージックなどさまざまなバンドで演奏をしていたらしい。ベースとして西海岸AORの雰囲気をたたえながらも、いろんな音楽要素がミックスされてている感じは、そんな雑食体験から来ているのだろう。とても熟達したバンドという感じがする。

ところで、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)というのは和製英語のようだ。一番近い英語は「Adult Contemporary (AC)」というあたりか。また、最近の言い方では「Yacht Rock(ヨット・ロック)」という言い方もあるようだ。これは、十数年前にアメリカで放映されたテレビ番組の中で開発された言葉で、「ヨット乗って楽しんでるような金持ち連中が好んで聴いてそうな音楽」というちょっと揶揄するニュアンスが入った言い方のようだけど。

このMandoo、実は今年2020年になって「Pacific Addiction」というニュー・アルバムを出している。直訳すると「太平洋依存症」。これぞ「Yacht Rock」かという感じもある。実は、僕が最初にApple Musicで出会ったのはこのニュー・アルバムからの曲だった。でもその後両方のアルバムを聴いてみた中では、この新しいアルバムは少し軽くて薄い感じがあり(まさにYacht Rock?)、2012年に出たアルバム「Sweet Bitter Love」の方が、しっとりした大人感と音のおしゃれさが漂う充実した内容のように感じられたので、せっかく新しいのを出した関係者の方々には申し訳ないけど、こちらをフィーチャーしてみた。

 

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今年4月に発売されたアルバム「Pacific Addiction」