Nice Music! That hits the spot!

良い音楽との良い出会い。それは生涯追求し続けたいテーマ。

Mingo Fishtrap / On Time

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これはテキサス州オースティンを拠点にしている8人組のバンド。一応ソウル・ファンクバンドという触れ込みになっていて、もちろんソウルやファンクの要素は当然色濃く持っているのだけど、でもそんな器には到底収まりきらない幅広い音楽性とポジティブ・エネルギー発散力を持ったバンド。結成は1996年というから、もう20年を超えるキャリアだ。

いつもど真ん中でギターとボーカルをやっているRoger Blevins Jr. という男がバンド全体を引っ張っているようだ。バンドは3人のホーンセクションも含めた厚い音なのだけど、自身では弾き語り的なことも一部ではしていたり、外見は粗野な感じだけども、意外と繊細なところもあるのかもしれない。音楽大学出身で、すご腕のメンバーを集め自分が歌うバンドを作ったということか。

名前に「Jr.」と付いているから「Sr.」もいるのかと見てみると、バンド結成時にベースを弾いていたのがRoger Blevins Sr. 。どうやらオヤジにベースを弾かせて、自分はフロントでギターを弾いて歌うというスタイルだったみたい。でもインタビューでは、音楽の道に入ったのは父のおかげですなんて語ってるところからすると、息子に対するオヤジの愛が深かったということなのだろう。

同じテキサス出身と言えばライル・ラベット(Lyle Lovett)という人がいる。この人は、ジャンル分け的には通常「カントリー」に入れられてる人なのだけど、やはりジャズ・ファンク・ゴスペルなどさまざまな音楽性が混ざった曲をやっている。聴いていると、音楽的にちょっと通じるものがある気がする。もっと言えば声までも。

「テキサス・ロック」とか「テキサス・サウンド」みたいな言い方はあまり聞いたことがないけども、歴史的にアメリカ先住民・スペイ・フランス・メキシコと土地の支配者が次々変わっていたり、すぐ隣にはディープサウスと言われる独特の黒人文化が栄えたエリアがあったりもして、ここならではのミックス感覚が自然に醸成されているのかもしれない。

YouTubeに入っている映像の中から、老いも若きも踊りだしまった、良い感じのダンスナンバーを紹介しておきます。


Mingo Fishtrap "Sugadoo"

 

ところで、このバンドが根拠地にしているオースチンは、テキサスの中でヒューストン・サンアントニオ・ダラスに次ぐ4番目の都市。その一方で、今年はコロナの影響で中止になったしまったけども、このところ世界的な注目を集め年々規模が拡大している音楽・映画・ネットクリエイティブなどを包括したカルチャーイベント「サウス・バイ・サウスウエスト」の開催地でもある。

極端な一極集中で、レベルの高いさまざまなカルチャーが高密度で栄えているトーキョーも凄いのだけど、ちょっと見たところではカルチャーの香りなんてあまりないテキサスの、それも4番目の都市で、こんなイベントが開かれ、こんなバンドが活動をしている、という地方都市のカルチャー創造力と発信力。そして、そんな地方都市が全土に存在しているアメリカという国の底力は凄い。